豊祝
伝統的な吉祥柄の絣は今ではほとんど見られないため、伝統を誉めたたえ祝うという意味を題名にしました。
万葉集の時代(今から千三百年前)の人々は言葉に霊力が宿ると信じていました。
農耕の先立つ時期に豊作の歌を詠むことは五穀豊穣を約束することになります。
つまり、豊作を予祝する(あらかじめ祝う)という意味があります。
絣を腰の位置あたりまでにバランスよく配置しました。(江戸褄腰高文様)
万葉歌
味酒 三輪の祝の山照らす 秋の黄葉の散らまく惜しも
味酒三輪の神官が守る山を輝かせる秋の黄葉の散るのが惜しいことだなぁ。
祝(はふり)とは神に仕える人、すなわち神職のこと。
この時代は神の山は「祝の山」と言いました。
また酒造りは三輪の地から始まったとされていて
「味酒」は三輪にかかる枕言葉です。
奈良の酒には「豊祝」という名の酒があります。